円安が、海外旅行や国外生活に変化を及ぼしています。旅行費は高くなる一方、海外で仕事をすると給料が実質的にアップするという恩恵も。移住したオーストラリアで週に20万円を稼ぐ20代や、物価の安いタイで生活を楽しむ日系企業の人に聞きました。
■円安で「10ドルステーキ」店困惑
福岡市の飲食店を24日夜、訪ねました。今年から、「200グラム10ドル」のアメリカのアンガスビーフのステーキを提供しています。円相場に応じて支払額が変わるため、1月は1300円ほどで提供していましたが、今は1500円ほどです。
店主は「『今日値段これなんだよね』って言ったら、(客が)ちゅうちょする状況が以前より増してきているのが現実ですね」と話します。
その円相場は、24日も大きな動きがありました。一時1ドル=150円近くまで円安が進んだ後、10分足らずで145円台に急騰。これに市場からは、政府・日銀が「円買い・ドル売り」の為替介入をしたとの観測が強まりました。
しかし、その後も円安の勢いは止まらず、1ドル=149円台まで下落しました。
■円安で…旅費「20万円アップ」
海外に向かう人たちを悩ませていたのも円安です。
羽田空港で24日夜、ハワイに向かう夫婦に聞きました。「トータルで(旅行費)30万くらいは考えてたけど、向こうも物価が上がっているのもあるし、円安もある。去年と比べるとおそらくプラス20万くらいいくんじゃないのかな」
そのため夫婦はハワイで自炊もするといいます。「食材は日本から持って行って倹約する」と話しました。
一方、ワーキングホリデーでオーストラリアに行く保育士は「向こうで働いた方が稼げるのかな」と、円安による給料アップに期待していました。
■豪州に移住…「給料がいいので」
実際にオーストラリアで働いている男性(20代)に取材しました。「こっちに移住してきました。お金、給料がいいので」と言います。綿工場で働いていた時の1週間の給与明細には、20万円ほどの金額が記されています。「8月は手取りで月90万円を超えました」
仕事内容や賃金体系が違うため一概には比較できないものの、月の給料は日本円に換算すると、日本で水産加工の仕事をしていた頃の約4.5倍になりました。円安が影響しているといいます。
男性
「オーストラリアドルを日本円に、(2年前は)60何円で替えていました。今は94円なので全然違う。レートがいい時に(給料を日本円に)替えています」
■タイに渡って給料「6万円アップ」
円安の恩恵は他の国でも及んでいました。
去年4月にタイに渡った廣澤徹さん(27)に24日、話を聞きました。日系企業で営業の仕事をしていますが、「6万円くらい日本レートで違ってきています」と言います。
去年タイに到着した時に比べて、日本円で給料が昇給を含めて6万円ほど上昇。そのうち3万円ほどは、円安によるレート変動の影響だといいます。
物価が安く、生活費が抑えられるというタイ。「私がよく食べるお店の炭火で焼いた豚肉が1個10バーツなので、今日のレートで39円。Tシャツは1枚15バーツで買え、(1バーツ)4円で計算すると60円くらいです」
円安の影響もあり、タイで働きたいという若い日本人が増えているといいます。廣澤さんは「日本よりタイで生活して仕事する方が、金銭面でもそうですし、自由に過ごせます」と話しました。
(2022年10月24日放送「news zero」より)
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